令和7年度修士論文発表会が行われました!
令和7年度修士論文発表会が2026年2月12-13日に行われ,当研究室からは中村君と山口君が発表しました.
「金沢大学衛星の電力制御に関する検討」中村駿介
概要:本研究は,金沢大学衛星こようの電源システムのフライトデータ解析及び評価と,将来の金沢大学衛星に搭載する電源システムの試作および評価を行った.
金沢大学衛星こようの電源システムのフライトデータ解析及び評価では ,こよう の電源システムが地上試験同様の振る舞いを軌道上で行えているかを評価した.その中で電源制御器(PCU) のモードであるバッテリ電圧追従制御(BVT)が本来動作しないであろう区間で動作していることが推測された.しかし,考察においてそれ以外の要因の可能性を排除することができず,Lessons Learned では試験データが不足していたことや計測点が十分でなかった点を指摘した.
将来の金沢大学衛星に搭載する電源システムの試作及び評価では,金沢大学技術実証衛星KSAT3-Xバスの開発の一環として,電源 IC「BQ25756」を用いた電源システムを構築した.こようのLessons Learnedで挙げた計測点の課題を,電源IC を使って克服できるかなどを念頭にICの選定から行った.試験基板の改修を重ね,バッテリへの充電と,充電サイクルを確認することができた.さらに,BQ25756を放射線試験に供し,SEUと呼ばれる現象を確認した.しかし頻度が低いことから,実際の運用で用いる際の影響は小さいと結論付けた.
「極軌道周回人工衛星の沿磁力線姿勢制御手法の研究」山口太暉
概要:本研究では,高軌道傾斜角軌道を周回する2U CubeSatサイズの宇宙機を対象として,高緯度地域を含む軌道全域において沿磁力線姿勢を安定に維持する制御手法の開発を行った.特に,永久磁石を用いた受動磁気姿勢制御(PMAC)とリアクションホイール(RW)および磁気トルカを併用したハイブリッド姿勢制御に着目し,その有効性を数値シミュレーションにより検証した.
シミュレーション結果より,提案したハイブリッド姿勢制御手法は,目標とする姿勢に対して良好な追従性能を示し,地磁場方向の変化が大きい高緯度域を含む軌道条件下においても,三軸姿勢制御が実現可能であることを確認した.
さらに,消費エネルギーの評価を行った結果,積分制御を導入したハイブリッド姿勢制御において,特にアンローディングゲインを緯度に応じて切り替えた場合には,RW と磁気トルカの消費エネルギーの和が最小となることが示された.この結果は,積分制御による定常外乱トルクの補償効果と,永久磁石が担う受動的な姿勢保持トルク,ならびに緯度依存のゲイン切替を組み合わせることで,姿勢制御性能を維持しつつ消費エネルギーを大幅に低減できることを示唆している.
以上より,本研究で提案したハイブリッド姿勢制御手法は,高軌道傾斜角を有する小型衛星に対して,高緯度域を含む軌道全域での沿磁力線姿勢制御を実現可能とし,かつ低消費電力での運用が期待できる有効な制御方式であると結論づけられる.

